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秦氏(はたうじ)

弓月君(ゆづきのきみ)を祖と伝える有力渡来系氏族。姓は造で,西日本に広範に分布する秦人の伴造(とものみやつこ)。本拠地は山背(やましろ)国葛野郡。天武朝の八色の姓(やくさのかばね)で忌寸(いみき)姓となる。「日本書紀」には応神14年,弓月君が120県の人夫を率いて百済から渡来し,雄略15年,諸国に分散している秦人を秦酒公(はたのさけのきみ)に与えたとある。これらは東漢(やまとのあや)氏や西文(かわちのふみ)氏に対抗して造作した伝承で,百済系というのも疑問である。一般には,古くから西日本一帯に移住し機織や農耕に従事していた新羅系の人々が,欽明朝に王権に接近した山背の勢力を伴造として氏族的結合をとげたものとされている。以後,多くの貢納によって王権を支えたので,一族は朝廷の倉の管理と関係が深い。推古朝に,蜂岡(はちおか)寺(広隆寺)を建立した秦河勝(はたのかわかつ)がいる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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