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箸墓古墳(はしはかこふん)

奈良県桜井市箸中にある古墳前期初頭の前方後円墳。大市墓(おおいちのはか)ともよばれ,倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)の墓との伝承がある。奈良盆地東南部に突出した低丘陵先端に営まれる。墳長276m,後円部径156m,前方部幅132m。前方部端が撥(ばち)状に開く特徴をもち,前方部4段,後円部5段の築成で葺石(ふきいし)がある。周濠の痕跡が前方部北側に一部認められる。未調査のため,内部構造や副葬品は不明。墳丘からは岡山県都月坂(とつきざか)1号墳出土の都月型器台と共通する特殊器台形埴輪・特殊壺形埴輪・壺形埴輪片が採集され,大きな問題を投じた。隣接して古墳前期の大集落纏向(まきむく)遺跡があり,前方後円墳の祖型とも考えられている前方後円形の纏向石塚古墳などが点在する。多くの三角縁神獣鏡が出土した京都府の椿井(つばい)大塚山古墳と墳丘外形の特徴が共通することも指摘される。初期の前方後円墳として規模・形状ともに注目され,背景にある初期大和政権の成立の問題にかかわる古墳である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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