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土師器(はじき)

古墳~平安時代に製作された赤褐色の素焼き土器。弥生土器の系統を引くが,弥生土器との区別は明瞭にはつけがたく,議論が多い。名称は平安時代の「延喜式」の記載によったもので,古墳時代にもそうよんだかどうか確証がない。弥生土器には地域差が顕著だったが,初期の土師器には地域をこえた普遍性をもつ,有段口縁の壺・小型丸底土器(坩)・器台・高坏(たかつき)などの祭祀用のセットが認められる。古墳の出現とともに畿内で成立した祭祀形態が各地で受容された結果と考えられる。この斉一的なセットは5世紀代で解消。同時期に登場した須恵器が祭祀に用いられ,土師器は本来の日常容器としての性格を強めた。また須恵器を模倣した土師器も作られ,とくに坏(つき)が顕著。平安時代になると須恵器の製作技法が土師器にとりいれられた。轆轤(ろくろ)が使用されるようになると,規格化された製品の大量生産が可能になり,朝廷や官衙(かんが)・寺院などの大量の需要に応じられるようになった。平安末頃には土師器は終焉を迎え,かわらけにその命脈を保つことになる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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