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幕藩体制(ばくはんたいせい)

近世の政治支配体制もしくは社会構造をさす歴史学用語。おもに幕府と諸藩の重層的な権力で,農・工・商・賤民を支配する政治体制をいう。第2次大戦後の学界で広く使用されるようになり,とりわけ社会構造を重視する立場から,「生産物地代の上にうちたてられた純粋封建社会の政治体制」であるとされ,近世封建制の同義語として用いられた。1950年代の太閤検地論争,60年代の幕藩制構造論,70年代からの幕藩制国家論などのなかで,豊臣政権も含めた中央政権の政策基調の意義づけと国家論をめぐる論議がくり返されたが,それぞれの論争の到達点と次の論議への移行の必然性が十分には確認されないままであったため,この用語の含意も変化している。幕藩制国家論では,兵農分離制・石高制・鎖国制という近世に固有な3要素を中心に,近世国家の特質を解明する方向が示されているが,最近の研究状況には,必ずしもこうした枠組にはこだわらない傾向もある。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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