1. 用語
  2. 日本史 -は-
  3. 梅松論(ばいしょうろん)

梅松論(ばいしょうろん)

承久の乱から室町幕府成立期を描く歴史物語。2巻。取材資料から作者は細川家関係者説が有力。成立は1349年(貞和5・正平4)頃で,下限は本書の影響をうけた「源威集(げんいしゅう)」成立の嘉慶年間(1387~89)。鏡物(かがみもの)あるいは当代の談論文芸の趣向にならい,北野神宮寺毘沙門堂での念誦(ねんじゅ)の暇に行われた通夜物語という設定で,足利尊氏による開幕の経過の問いに応じた「なにがしの法印」の語りを記録する体裁をとる。書名は「北野なれば将軍の栄華梅とともに開け,御子孫長久松と徳を等しくすべし」の前祝い,「飛梅老松年旧りて松風吹かば梅花薫ずるを問と答とに准(なぞ)」らえる意図による。伝本は古本・流布本にわかれ異同が大きい。古本は「国語国文」誌,流布本は「群書類従」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう