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百姓(ひゃくしょう)

古代では「ひゃくせい・はくせい」とも。古代中国では種々の姓をもつ人の総称,すなわち一君万民の万民を意味した。律令制下でも,皇族・奴婢をのぞく,班田農民・地方豪族・貴族を含む語として使用された。中世社会の一般人の法的身分は侍と凡下(ぼんげ)にわかれていたが,しだいに百姓が凡下にかわって侍に対する身分呼称として用いられるようになった。荘園制下で,百姓の多くが農業に従事し,しだいに耕地との結びつきを強めていくと,土地を所持する百姓=農民という社会観念が強くなった。しかし現実には,漁民・商人などの非農業民も,苗字をもつ侍身分に対して,苗字をもたない百姓身分の者として多く存在した。近世に入って,百姓のなかから商人・職人などが城下町などの都市に集住させられ町人身分として分化し,在郷の田畑を所持する人々は,その土地を検地帳に登録され百姓身分とされた。これによって,百姓=農民という身分が体制化した。しかし近世においても,なお百姓身分のうちに,田畑をもち,漁民・職人など種々の職業を本業とする人々を含んでいた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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