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非人(ひにん)

既存の共同体から疎外された乞食などをさす。中世の非人は非人宿をつくり,斃牛馬(へいぎゅうば)処理,刑吏,呪術・芸能など一連の穢(けがれ)に対する清めの職能を担った。彼らは中世後期に,斃牛馬処理,刑吏を担う河原者と呪術・芸能にかかわる声聞師(しょうもじ),宿(夙)(しゅく),散所(さんじょ)などに大きく分化し,近世では穢多身分と諸雑賤民とになる。近世の非人は飢饉などで多くうみだされ,おのおの組織化されたが,穢多の支配をうける地域や独自の頭をもつ地域もあり,組織のあり方は多様であった。しかし,正月や五節供,吉凶時に勧進したり,門付(かどづけ)の雑芸能などを行う点や,番人,掃除,刑吏役などを勤めるという生活のあり方は共通していた。近世前期に非人組織が形成されて以降も,つねにうみだされ,彼らは新非人,野非人(のひにん)などとよばれた。野非人は人返しされるか,非人手下(てか)となるか,いずれかに「身分片付」をされることが原則だったが,近世中期以降,都市社会に定着することになる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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