彦根屏風(ひこねびょうぶ)
遊女・禿(かむろ)・若衆といった遊里にかかわる人々の生活模様を描いた近世の風俗屏風。彦根藩主井伊家に伝わったためこの名がある。15人の男女が,遊里の室内で遊芸を楽しんだり,最新流行のいでたちで往来を行くさまを金地の背景でつないで一つにまとめている。画中の三味線,双六(すごろく),恋文,山水図屏風によって,琴棋(きんき)書画図の見立てともなっている。計算された構図や官能的で退廃的な雰囲気から,江戸初期の寛永年間前半の作とみなされる。筆者は不明。縦94.6cm,横274.8cm。国宝。井伊家史料保存会蔵。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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