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飛脚(ひきゃく)

近代以前,通信・輸送を担う職業やその職務のこと。たんに書状・荷物を届けることもいう。律令制下では飛駅使とよばれる騎馬の使者による通信が行われ,鎌倉時代には早馬による飛脚が京都―鎌倉間を結んだ。近世は,領主の設ける飛脚以外に,民間の飛脚である町飛脚が発達した点に特徴がある。前者には幕府の書状逓送を担う継飛脚が設けられたほか,名古屋藩・和歌山藩などの七里飛脚や金沢藩の三度飛脚などもあった。また幕吏の書状逓送のために三度飛脚が始まったが,のちに町飛脚に委ねられ,大坂の三度飛脚,京都の順番飛脚,江戸の定飛脚が発展した。地方都市にも姫路の大坂九度飛脚などの町飛脚が現れた。米相場の情報を配送する米飛脚や,江戸内の書状逓送を担う江戸町飛脚,大名などに道中人足を提供する人宿の江戸六組飛脚仲間などもあった。牛を使用して書状・荷物運送を行い,牛飛脚とよんだ所や,農民が書状配達を命じられ,百姓飛脚とよんだ所もある。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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