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本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)

本体である仏・菩薩が衆生救済のため,仮に神の姿をとってこの世に現れるという教説。淵源は仏教の仏身論で垂迹は神に限らないが,日本では仏教伝来当初から神仏関係が問題とされた結果,神を護法神と位置づけ,または仏によって救済されるべき存在とする段階をへて形成された。一般的思想としては「三代実録」貞観元年(859)8月28日条の恵亮(えりょう)の表などが初見。平安中期からは八幡宮の本地は阿弥陀仏(釈迦仏とも),伊勢神宮の本地は大日如来といった個別諸社について本地仏を特定するようになり,平野・春日・日吉・北野・熊野・祇園など主要神社であいついで本地の仏・菩薩が定められ,それらを祭る本地堂が建立された。中世に入るとこの関係を絵画化した神道曼荼羅(まんだら)も現れたが,一方で天台本覚思想の影響で神仏ともに本地とする説もうまれ,鎌倉中期には神仏関係を逆転させた伊勢外宮神官度会(わたらい)氏の反本地垂迹説も登場した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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