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干鰯(ほしか)

鰯(いわし)・鰊(にしん)などを乾燥させて作った江戸時代の代表的購入肥料。魚油を搾ったあとの粕である〆粕(しめかす)とともに,近世農業の地力維持に不可欠な肥料であった。すぐれた有機的肥料の一つとして農民に購入され,綿・菜種などの商品作物の栽培には全国的に使用され,畿内では稲作にも用いた。産地は日本列島の大部分の海岸地帯の漁村に分布しており,大坂の干鰯問屋は産地によって西国物・関東物・北国物・松前物に区別し,全国にむけて出荷した。金肥として重要な地位を占めると,価格の高騰が直接に農業経営を圧迫することになり,幕末期には農民は干鰯にかえて北海道産の鰊粕を用いるようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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