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伊勢国(いせのくに)

東海道の国。現在の三重県の大半。「延喜式」の等級は大国。「和名抄」では桑名・員弁(いなべ)・朝明(あさけ)・三重・鈴鹿・河曲(かわわ)・奄芸(あんぎ)・安濃(あの)・壱志(いちし)・飯高(いいたか)・飯野・多気(たき)・度会(わたらい)の13郡からなる。「伊勢国風土記」逸文に伊勢津彦が国を神武天皇に献上し,天皇がその名をとって国名としたという由来をのせる。古くは伊賀国・志摩国と一体であった。国府は鈴鹿郡(現,鈴鹿市),国分寺・国分尼寺は河曲郡(現,鈴鹿市)におかれた。一宮は椿大社(現,鈴鹿市)。三関の一つである鈴鹿関は鈴鹿郡(現,亀山市関町)におかれた。「和名抄」所載田数は1万8130町余。「延喜式」に調庸として綾・絹・糸・塩など,中男作物として紙・木綿・海産物などを定める。伊勢神宮があるため,度会郡などの神郡(しんぐん)や神領が多く,平安中期には員弁郡などをあわせ神八郡(しんはちぐん)と称した。平安末期には伊勢平氏の拠点。鎌倉時代には大内・北条氏らが守護となり,南北朝期には北畠氏が南伊勢に進出し,以後国司として続いた。近世には多くの大名領・幕領となる。1871年(明治4)の廃藩置県により北に安濃津(あのつ)県,南に度会県が成立,72年安濃津県を三重県と改称,76年両県が合併して三重県となる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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