源平盛衰記(げんぺいじょうすいき)
「げんぺいせいすいき」とも。軍記。「平家物語」非当道系諸本の広本系統伝本の一つで,近世以降一作品としてうけいれられた。48巻。諸資料記載増補作者名にあてて,「醍醐雑抄」では葉室時長説,「臥雲日件録」に玄慧(げんえ)法印説などの作者説があるが不詳。成立期も時長説の鎌倉初期から玄慧説の南北朝期まで諸説ある。内容は「平家物語」とほぼ同じだが,文書類資料,和漢故事や説話を大量に入れ文体も装飾的で,「平家物語」諸本間では後出増補集成的な色彩が濃い。文覚譚を含む源頼朝挙兵の関連記事や源義経の末期記事などは,語り系本文と異なる源氏寄りの視点がみえ,書名の由来を説明する。翻刻「新定源平盛衰記」。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう