還俗(げんぞく)
復飾(ふくしょく)とも。出家した者が再び俗人に戻ること。自発的に僧の道をやめる帰俗(きぞく)と区別し,処罰として強制的に俗人に戻る場合に限っていうとの説もある。養老律令の僧尼令(そうにりょう)では吉凶を卜したり,巫術(ふじゅつ)で療病したり,別に道場をたてて衆を集めて教化するなど,僧尼の地位を利用して人心を惑わすことに対し,還俗のきびしい処罰を定めている。中世,法然・親鸞に俗名を与えて流罪としたのもこの種の処罰の還俗と考えられる。天台座主大塔宮尊雲法親王が還俗して護良(もりよし)親王となり,青蓮院(しょうれんいん)門跡義円(ぎえん)が足利義教となるのは,政治的背景による還俗である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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