顕戒論(けんかいろん)
僧綱の批判に応えて天台大乗戒壇独立の論拠を提示した書。3巻。最澄(さいちょう)著。819年(弘仁10)成立,翌年上奏。819年に最澄の提出した「山家学生式(さんげがくしょうしき)」四条式に対し,僧綱は批判の上表文と奏文を提出した。本書は第1編で上表文への反批判,第2編から第5編は四条式各条に相応するかたちで奏文への反批判を展開。日本では比叡山だけが一向大乗寺であること,大乗の大僧戒は「梵網(ぼんもう)経」の十重四十八軽戒であるべきこと,時代相応の僧とは大乗戒をうけ12年間籠山した菩薩僧であることなどを論じ,天台大乗戒壇独立の必要性を訴えるとともに,それが桓武天皇の遺志にもそうものとした。「日本思想大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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