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金融恐慌(きんゆうきょうこう)

1927年(昭和2)に勃発した日本の銀行恐慌。同年3月中旬から全国に銀行取付けがおこり,同年中に休業した銀行は45行に上った。恐慌の直接のきっかけは,3月14日の衆議院予算委員会における「渡辺銀行が破綻した」という片岡蔵相の失言にあったが,恐慌激化の要因は,関東大震災の処理として滞留していた震災手形にあった。この手形の最大の所持銀行は台湾銀行であり,最大の債務者は鈴木商店であった。第1次大戦による大戦景気のもとで急膨張した総合商社の鈴木商店の経営は戦後恐慌後いっきょに悪化し,その破綻が震災手形によってくりのべられていたのである。震災手形の処理をめぐる議会審議の過程でこの問題が表面化し,結局,台湾銀行・第十五銀行・近江銀行などの大銀行までが破綻した。恐慌の深化に直面し,政府は日銀特融法・台湾特融法の2法を成立させて救済にあたったが,その処理はその後長期間にわたった。また,この恐慌を契機に五大銀行体制が確立した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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