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恐慌(きょうこう)

資本主義の景気循環の一局面としての経済破綻。その理論的根拠については,労働力商品起因説,生産の無政府性説,労働者の過小消費説などがある。一般に,独占段階には恐慌の激発性が失われる一方,不況の長期化と農業恐慌の随伴がみられ,さらに管理通貨制を基礎に国家の経済介入が強化されると,好況・恐慌・不況の循環は不透明性を増す。日本では,明治23年恐慌(1890)は過渡恐慌であったが,日清戦後第2次恐慌は,紡績資本の拡大を導因とする本格的資本主義恐慌であり,日露戦後恐慌は世界恐慌との連動を強めつつ不況の長期化をもたらした。第1次大戦期の異常な好況はその反動として戦後恐慌をひきおこし,救済政策によって弥縫された矛盾は,震災恐慌・金融恐慌によって露呈された。金解禁・産業合理化政策と世界恐慌の影響とが複合して勃発した昭和恐慌は,深刻な農業恐慌をともない,金本位制放棄を余儀なくさせるに至った。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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