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今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)

平安後期の説話集。31巻(欠巻3巻)。編者未詳。書名は各話の冒頭「今(ハ)昔」による。1130~40年(大治5~保延6)頃の成立か。文献に依拠した1000余話を収める大作だが,成立後は広く流布せず,本格的検討は芥川竜之介に始まる。源隆国(たかくに)編「宇治大納言物語」(散逸)との関連が注目されるが不明で,編者には白河上皇や南都の大寺院周辺の僧俗が想定されるが確定できない。編集目的も未詳だが,編者の関心は広く百科全書的であり,天竺(てんじく)(インド)・震旦(しんたん)(中国)・本朝を仏法と王法の論理を軸に展望する。表記は宣命書(せんみょうがき)で,文中には意識的な欠字が頻出する。現存諸本の祖本は鈴鹿三七氏蔵の鎌倉中期写本。「日本古典文学大系」「日本古典文学全集」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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