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金剛流(こんごうりゅう)

能のシテ方の一流儀。大和猿楽四座の一つ。坂戸座の流れをくむ。流祖は未詳。座名は「申楽(さるがく)談儀」にみえる観阿弥と同代の座の棟梁,金剛権守(ごんのかみ)に由来するか。鼻金剛の異名をもつ戦国期の兵衛尉氏正(ひょうえのじょううじまさ)を中興の祖とする。氏正から4代目の金剛弥一没後の一時期には,金剛座に属していた北七大夫が金剛大夫を継ぐが,七大夫はのち独立し,後世の喜多流の礎をなす。江戸時代には流儀の謡本の版行はなく,1882年(明治15)刊行の山岸本が流儀謡本の最初となる。明治初年に出た氏成は東京麻布飯倉の舞台を中心に能の復興に力を尽くしたが,氏成の孫,右京氏慧(うじやす)の没後は後継者がなく,坂戸金剛は断絶。その後,弟子家でもと野村姓を称し,禎之助以来金剛姓を許されていた京都金剛の金剛巌が家元を継ぐ。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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