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古活字版(こかつじばん)

近世初頭に盛行した活字印刷による出版物。安土桃山時代末に渡来した活字印刷術が新奇を好む時潮に合い,天皇や武将・寺院・富豪らの慈善による出版に始まり,急速に世間に普及した。これは,金属活字に代えて扱いの便利な木製活字を利用したことが一因と思われる。その結果,歴史上に例をみない量の書物が出回り,読者人口が増大し,企業としての出版が成立する環境を整えた。しかし出版業が営利に有効な版木による印刷法を選択したため,1650年代には文禄年間以降半世紀にわたる歴史に幕をおろした。その後私家版として明治期まで続いた小規模の活字出版を,木活字版(もっかつじばん)とよんで区別する。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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