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高野聖(こうやひじり)

高野坊・高野坊主とも。高野山の下級僧侶で同山や空海への信仰を広めて全国を回る勧進聖(かんじんひじり)。同山修行僧全体をさす場合もある。平安中期の正暦の大火後,高野山復興のために定誉(じょうよ)が組織した集団に始まり,教懐(きょうかい)・覚鑁(かくばん)によって真言念仏の教理を有する小田原聖・往生院谷聖の両集団に組織化された。中世には蓮花谷聖,五室聖(ごむろのひじり),禅的信仰を加味した萱(かや)堂聖,時宗聖集団を形成した千手院谷聖の諸集団が活発な勧進活動を行い,高野山の納骨信仰を全国に広めた。その後南北朝期から真言宗への帰入が強制され,1606年(慶長11)の将軍裁許によって帰入が確定した。一方しだいに行商人化が進み,宗教者としての質も低下して世評は下落した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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