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皇太子(こうたいし)

ひつぎのみこ・儲君(もうけのきみ)・春宮(とうぐう)・東宮・太子とも。皇位を継ぐべく定められた者。天皇の在位中に皇子・皇孫・皇兄弟などの皇親のうちから定められ,必ずしも皇子とは限らなかった。「日本書紀」では歴代天皇について皇太子を定める記事があるが,実際に1人の皇族を皇位継承予定者に定める制度が確立するのは,7世紀のことと思われる。律令制のもとでは,皇太子は令旨(りょうじ)とよばれる様式の文書を発行し,天皇が行幸などで不在の場合,天皇大権の一部を行使できる皇太子監国(げんごく)の制度も存在した。皇太子のための官司としては春宮坊(とうぐうぼう)がおかれ,皇太子の経済を支えるため雑用料が毎年支給された。皇太子を定めることを天下に告げる立太子の儀も,8~9世紀に整備され,醍醐天皇以後は,立太子にあたり護身の剣を天皇から賜うことが行われた。霊元天皇の1683年(天和3)以後,立太子の儀に先だって儲君を治定することが行われたが,1889年(明治22)に制定された旧皇室典範では,皇位の継承は典範の定める順序に従って行われることとなり,皇嗣が皇子であれば皇太子,皇孫であれば皇太孫と称することとなって現在に及んでいる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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