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郷士(ごうし)

江戸時代,農村に居住し武士的身分を与えられた者の総称。地域により存在形態や呼称は多様。一般に正規の家臣より一段低く扱われたが,給地を与えられ軍役を負担するなど藩家臣団の一員として位置づけられる。他方で農民同様に年貢地を耕作して農業経営を行うことも多い。郷士には中世の小土豪が兵農分離の際,武士にも百姓にもならず土着した場合と,近世に新田開発や献金により有力農民が郷士にとりたてられた場合がある。鹿児島藩の外城(とじょう)衆や高知藩の郷士など,西国の外様諸藩に多くみられた。生活様式は農民的でも武士意識が強く,藩の郷村支配にはたした役割も大きい。幕末期には大和国吉野の十津川(とつかわ)郷士のように政治的に重要な活動を行う者もいた。明治期以降,多くは士族とされた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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