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公文(くもん)

律令制で行政上有効な文書。律令条文では官司の間に授受される文書と,各官司で保管される案文の両方をさす。大宝令の施行により律令文書行政が本格的に開始されると,国家運営のうえで諸国から多くの帳簿類が送られるようになり,やがて諸国の四度使(よどのつかい)が持参する文書をとくに四度公文というようになった。すでに734年(天平6)の出雲国計会帳でも,貢調使・大帳使・朝集使の持参した帳簿類を公文と総称している。また「政事要略」は諸国から進上する公文として多くの種類の帳簿名をあげている。正倉院文書中の8世紀の公文のように,反故(ほご)文書として紙背が利用されたために伝存したもの以外にも,近年では地方で作成された案文が漆紙文書として多数出土する。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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