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曲舞(くせまい)

久世舞・口勢舞・口宣舞とも。中世芸能の一種。南北朝期~室町初期に流行し,簡単な舞と独特の節の謡いに特徴があり,白拍子から派生したとされる。祇園御霊会の舞車の曲舞や勧進曲舞が諸記録に記され,奈良や京都の声聞師(しょうもじ)のほか,美濃・若狭・越前・加賀などの諸国に座があった。世阿弥「五音」に「道の曲舞と申すは,上道・下道・西岳・天竺・賀歌女也。賀歌は南都に百万と云ふ女曲節舞の末と云」とその流れを記す。賀歌の流れをくむ曲舞を学んだ観阿弥は,猿楽にとりいれて新しい音曲を作り,世阿弥が重要な構成要素として能にとりいれた。一方,室町中期には曲舞から軍記物に取材した長編の曲がうまれ,当時人気を博した幸若座にちなみ幸若舞と称されるようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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