枡(ます)

穀物や酒・油などの容積を計量する器具。日本では一般には木製の箱型が多く,円筒形もある。枡が使用され始めたのはかなり古いと推測されるが,たんなる箱と枡を区別するのは困難。大宝令の制定により中国の制度が移入され,日本の量制も整備されたが,荘園制の発達とともに荘枡とよばれるさまざまな規格の枡が出現した。商業の発展によりしだいに量制の統一が進み,江戸時代には幕府や諸藩によって枡座が設置され,枡の規格は新京枡でほぼ統一された。幕府の枡座では穀物計量用と液体計量用の枡が製作されたが,庶民の間では魚介用のけんち枡や野菜用の野菜枡,のちには繭(まゆ)用の繭枡など多様な枡が使用された。明治期以降は円筒形も公認され,金属製・ガラス製も現れたが,現行計量法では検定対象から外されている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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