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長屋王の変(ながやおうのへん)

奈良前期の藤原氏による政敵排斥事件。藤原不比等(ふひと)の没後,長屋王が太政官の首班になるが,729年(天平元)2月中臣東人(なかとみのあずまひと)らが王の謀反を密告し,藤原宇合(うまかい)らが王の宅を包囲した。舎人(とねり)親王らの審問ののち王は自殺し,正室吉備内親王とその子も自殺した。変の背景には,その直前に聖武天皇の夫人藤原安宿媛(あすかべひめ)(光明子)所生の皇太子が夭折し,もう1人の夫人県犬養広刀自(あがたいぬかいのひろとじ)が安積(あさか)親王を出産したことがある。藤原氏は安積の即位阻止のため安宿媛の立后をはかり,その障害になる王を排除したと考えられる。皇女を母にもつ長屋王の血統から,大化前代の皇位継承原則に照らすと,宮子所生の聖武天皇に劣らず長屋王の即位がありえたことも要因であろう。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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