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年貢(ねんぐ)

前近代社会において,領主が経済外的強制を背景にして土地に賦課し,農民から年々にわたって収奪した貢租。慣用的に使われ,必ずしも明確な歴史概念として使われていない。農民の負担という観点からは,起源は律令体制下の租・庸・調・雑徭の収取体系に求められる。荘園制下では農民負担は年貢・公事(くじ)・夫役(ぶやく)に大別されるが,その後,戦国大名が領国の一円支配を実現させ,荘園制を否定する検地を領内に施行し,土地を貨幣で評価する貫高制を樹立した。封建的土地所有を名実ともに完成させたのが太閤検地で,田畑屋敷地を米の生産量である石高で評価する石高制を創出した。これが江戸幕府に継承され,新たな近世の農民収奪体系が確立された。近世の貢租は年貢と諸役に大別される。年貢は検地帳に名請けされた田畑屋敷地に賦課された基本的な農民負担であり,諸役は小物成・高掛物・国役・夫役などである。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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