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鼠の草子(ねずみのそうし)

室町物語の異類物。1巻または5巻。作者不詳。室町後期には成立。四条堀河に住む古鼠の権頭(ごんのかみ)は,清水観音に願をかけ,その甲斐あって,五条油小路の柳屋三郎左衛門の女を妻とする。京中の芸人が集まり,婚礼の宴がもよおされる。あるとき,以前から夫のようすに不審を抱いていた妻が障子の隙間をのぞいてみると,夫以下すべて鼠であった。妻は逃げだし,都人と結婚して笛吹の猫の坊を飼う。失意の権頭は出家してねん阿弥と名のり,高野山へ上る。「猿の草子」と同様,婚礼などの盛儀に焦点をあてた祝儀性あふれる物語。「古奈良絵本集」「室町時代物語大成」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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