人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)
江戸時代に成立した人形劇。浄瑠璃の語り手,三味線弾き,人形遣いの3者が一体となって上演する形式で,操り浄瑠璃,操り芝居ともよばれた。室町末期に,夷舁き(えびすかき)とよばれた人形回しと,当時流行の浄瑠璃という語り物と,最新の楽器であった三味線の提携が成立して上方で発生したというが,その経緯は明らかではない。成立期には人形で猿楽能の演目を上演する能操りや,説経節という語り物による説経操りなどの類似する芸能も存在した。人形劇の内容を語る浄瑠璃は,竹本義太夫による当流(新)浄瑠璃の成立以前の古浄瑠璃と,それ以降の義太夫節に大別される。長編の語り物で,「仮名手本忠臣蔵」など多くの作品が歌舞伎化され,人形浄瑠璃自体も歌舞伎の表現手法をとりいれて発達した。人形操法は,近松門左衛門作品初演の頃には1人遣いで,18世紀前期から3人遣いが発達し現代に及んでいる。主要な劇団・劇場に,竹本座・豊竹座・文楽座などがあった。現在では文楽(ぶんらく)とよばれ,東京の国立劇場小劇場,大阪市の国立文楽劇場などで上演されている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう