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農本思想(のうほんしそう)

立国の基礎を農業におくことを主張する思想。商品経済の発展にともなって封建社会が動揺しはじめた江戸中期以降,荻生徂徠(おぎゅうそらい)・山片蟠桃(ばんとう)・安藤昌益・二宮尊徳らが,領主的ないし農民的立場から農業・農民重視を唱えた。資本主義の発展にともなって農工格差が拡大しはじめると,前田正名(まさな)・平田東助らの官僚は,国家の基盤としての自作農中堅・耕作地主層の動揺防止を主張し,横井時敬(ときよし)らの学者は,地主・小作関係安定のため小農保護を唱えた。昭和恐慌で農村の困窮が著しくなると,反都市・反中央集権・反資本主義を唱える橘孝三郎・権藤成卿(せいきょう)らの超国家主義的農本思想が,一部の青年将校や農民をとらえ,国家「革新」運動がおこった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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