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農兵(のうへい)

幕末~明治初年に組織された農民兵。弱体化した幕藩体制の軍事力の補強のため,武士を農村に土着させ事が起きたときに農民を率いて戦わせようという武士土着論は,江戸前期の熊沢蕃山(ばんざん)らによってしばしば説かれたが,実際の農兵組織は幕末期になって実現した。幕府は伊豆国韮山(にらやま)代官江川太郎左衛門英竜の1849年(嘉永2)の海防農兵建議は採用しなかったが,61年(文久元)の江川英敏による村方の治安維持に力点をおく農兵制建議をうけ,63年に農兵取立てにふみきった。この江川農兵をはじめ幕領の農兵は,しだいに豪農層の治安維持の目的に使われ,66年(慶応2)の武州一揆などの鎮圧に威力を発揮した。農兵は諸藩でも藩の強力な指揮下で組織された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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