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奴婢(ぬひ)

古代の隷属者身分の一種。奴は男性,婢は女性。「魏志倭人伝」によると3世紀にはすでに奴婢が存在し,犯罪者の妻子が奴婢とされていたらしい。また「隋書倭国伝」には盗人で賠償のできない者が奴とされたとみえる。律令制下では賤民身分とされ,官奴婢と私奴婢に大別された。律令法上では牛馬資財と同様に売買・相続の対象とされ,口分田(くぶんでん)も良民の3分の1,同身分間の婚姻を強制されるなど,さまざまな法的差別をうけた。官奴婢は8世紀半ば頃から順次解放され,私奴婢も8世紀後半から良賤通婚の盛行などを通じしだいに形骸化し,遅くとも10世紀初頭には消滅したと考えられる。鎌倉時代の幕府法にも奴婢の規定があるが,その実体は中世的な隷属者身分である下人(げにん)・所従をさす。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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