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ヲコト点(おことてん)

漢文の訓読において原文の漢字の四隅などに・|-/+=などの符号を記入し,特定の読み方を表すようにしたもの。9世紀の初め,漢文への訓点記入が始まるとともに創案された。その発生は奈良の古宗派に属する学僧集団の中からと考えられる。当初は個人により符号の体系が異なっていたが,しだいに宗派・学派ごとに特定の方式が使用され伝承されるようになった。法相(ほっそう)宗の喜多院点,真言宗仁和(にんな)寺系統の円堂点,天台宗寺門派の西墓(にしはか)点などがある。10世紀には漢籍にも使われるようになった。12世紀以降,仏教の世界ではヲコト点は急速に衰退して,その使用は限定的なものとなり,片仮名による訓点記入が盛んになった。漢籍においては中世以降も紀伝点(大江・菅原家)などが引き続き使用された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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