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大蔵省(おおくらしょう)

�@大宝・養老令制の官司。八省の一つ。令制以前の大蔵の系譜を引くと考えられ,「日本書紀」では天智朝にみえるほか,天武末年の六官のなかにも大蔵がある。養老令制では,諸国の調をはじめとする貢納品の出納をおもな職掌とし,中央財政のさまざまな支出をまかなった。他に所属の典履(てんり)・百済手部(くだらのてひとべ)・典革(てんかく)・狛部(こまべ)などによって皮革製品を製作し,典鋳司・掃部司(かにもりのつかさ)・漆部司(ぬりべのつかさ)・縫部司(ぬいべのつかさ)・織部司など,多くの伝統的な手工業官司を管轄し,さまざまな製品を製作した。しかし令制下で中央財政運営の中核を担ったのは民部省であり,物品の保管・出納を行う大蔵省の位置づけは相対的に低かった。被管の手工業官司も平安初期に統廃合されることとなった。�A国の財政・金融などの財務行政を統一的に担当する行政機関。明治政府は1869年(明治2)7月の行政機構改革により,会計処理機関を廃止して「金穀出納・秩禄・造幣・営繕・用度等」を担当する大蔵省を設置。内閣制度の創設にともない86年に大蔵省官制が制定され,歳入歳出・租税・国債・貨幣・銀行および地方財務の監督を管掌事項とした。98年には官房と主計・主税・理財の3局となり,他に現業の造幣局・専売局・印刷局があった。以後銀行局(1916年)・預金部(25年)・外国為替管理部(33年)設置などの組織拡充が行われた。第2次大戦後,占領管理にともなう財務処理や財閥解体,経済復興政策を担うなかで組織は拡充され,49年の国家行政組織法・大蔵省設置法の施行により,現行組織の原型が形成された。高度成長期には,予算配分,租税特別措置,税制改正,財政投融資,金融機関への行政指導,財政金融政策などを通じて,経済政策全般への発言力を増大させた。2001年(平成13)1月,中央省庁再編により財務省となる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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