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大蔵(おおくら)

律令官制成立以前からあった財政官司。地方の在地首長からの貢納物を収納した。「古語拾遺」「新撰姓氏録」などには,雄略朝に秦(はた)氏が調を奉ったのち,地方からの貢納物があふれたため,以前からあった斎蔵(いみくら)・内蔵(うちつくら)に加えて大蔵をたて,これらを蘇我麻智(まち)が管理し,秦氏が出納を行い,東文(やまとのふみ)氏・西文(かわちのふみ)氏が帳簿に記録したとある。大蔵と内蔵の分立は6世紀のことと考えられ,渡来系氏族の氏の名に大蔵・内蔵を冠するものがあること,令制大蔵省・内蔵(くら)寮の下級官人に渡来系氏族が多いことなどから,これらの官司が渡来系氏族の技能に支えられて早くから整備されていたことは事実であろう。のちに大蔵は天武朝の六官の一つとなり,令制大蔵省につながった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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