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往生要集(おうじょうようしゅう)

極楽往生に関する経論文を集め,念仏が最要の行業と説いた天台浄土教を代表する書。3巻。源信(げんしん)著。985年(寛和元)成立。厭離穢土(おんりえど)・欣求(ごんぐ)浄土・極楽証拠・正修(しょうしゅう)念仏・助念方法・別時念仏・念仏利益(りやく)・念仏証拠・明往生諸行・問答料簡(りょうけん)の10門からなる。はじめの3門は六道と極楽の様をのべて極楽往生を願い求めるべき理由を説き,続く6門で往生の行法をのべて念仏最要を明らかにする。第10門は補足説明。観相念仏が主で口称(くしょう)念仏は二義的位置におかれたほか,臨終行儀を重視するなど後世の浄土宗の念仏とは異なる。成立当初から僧侶や貴族層に広く読まれ,11世紀以降の貴族的浄土教信仰の教理的裏付けを提供し,文学や美術にも多大な影響を与えた。「日本思想大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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