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三論宗(さんろんしゅう)

南都六宗の一つ。竜樹(りゅうじゅ)の「中論」「十二門論」と提婆(だいば)の「百論」の3部の論書を所依の典拠とする。般若皆空・諸行無常といった空の思想を宗義の根本にすえる。三論は鳩摩羅什(くまらじゅう)によって漢訳され,嘉祥大師吉蔵によって一宗として大成された。竜樹を開祖,吉蔵を宗祖とする。日本には高麗僧恵灌(えかん)により伝えられ,元興(がんごう)寺で学ばれた。福亮(ふくりょう)・智蔵(ちぞう)がこれを相伝し,智蔵の弟子に智光・礼光(らいこう)・道慈(どうじ)がでた。智光・礼光は元興寺で(元興寺流),道慈は大安寺で(大安寺流)それぞれ三論教学を講じた。元興寺流からは聖宝(しょうぼう)がでて東大寺に東南院を創建して三論の拠点とし,平安末期に永観・珍海らが,大安寺流からは善議・勤操(ごんぞう)らが輩出した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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