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防人歌(さきもりうた)

防人の作った歌。「防人歌」という標題は「万葉集」巻14にのみ現れるが,巻20にも755年(天平勝宝7)2月,難波に集結した諸国の防人の歌84首を中心とする93首を載せる。天平勝宝7年の歌群は,防人を検閲するために難波にきていた兵部少輔大伴家持(やかもち)が防人部領使(ことりづかい)を通じて入手したもので,防人の出身国ごとにまとめられ,1首ごとに防人の出身郡・地位・名前が記される。一見勇ましく慎ましい表現の底には,自己の意思に反して徴発され,それまでともに暮らしてきた肉親や故郷との離別をしいられた防人の悲傷と痛恨がこめられている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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