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宣命体(せんみょうたい)

通常の大きさの文字と小書きされた文字を書き混ぜる記録形式。「続日本紀」のなかの宣命を書き記す際に顕著にみられるのでこの名がある。小書きされる文字は,活用語尾や助詞・助動詞などの付属語に多く,中心の概念を表す文字は通常の大きさに書かれるのがふつうであることから,文法上の弁別意識がみられるとする考えもあるが,漢文の記録形式との対比から区別がうまれたと考えるのが妥当。読みあげることを目的とした祝詞(のりと)・告文・講式・和讃(わさん)・歌謡などにみられ,すべてを同じ大きさの文字で書き表したときの読みにくさを除くためにうまれた方式であろう。最古の文献は,正倉院文書の天平勝宝9年(757)の宣命案とされる。のちの「今昔物語集」などでも用いている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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