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釈奠(せきてん)

儒教の祖である孔子とその弟子たちを祭る儀式。701年(大宝元)に始まり,大学と国学で毎年2月と8月の最初の丁(ひのと)の日に挙行することが大宝令で法文化された。吉備真備(きびのまきび)による整備や平安初期の唐礼の継受をへて,9世紀中葉には儀式が充実した。大学での釈奠の式次第は,「延喜式」によれば,廟堂院で孔子以下を祭る饋享(ききょう)と,都堂院での講論および宴座(えんざ),紀伝道の文人賦詩,明経(みょうぎょう)・明法(みょうぼう)・算道の論義からなり,8月の釈奠には翌日の内裏での内論義が加わる。講論では,「孝経」「礼記(らいき)」「毛詩」「尚書」「論語」「周易」「春秋左氏伝」が1回の釈奠で1書ずつ順番に論義され,七経輪転といった。朝廷の釈奠は中世以降衰微したが,近世になると,江戸幕府が本格的に行うようになった。1633年(寛永10)に林家(りんけ)の忍岡(しのぶがおか)聖堂で行われ,91年(元禄4)の湯島への聖堂移転を契機に大規模化した。藩学でも幕府にならって行ったが,明治維新に至って廃絶した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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