青銅器(せいどうき)
青銅で造られた武器・道具・容器・装飾品などの総称。青銅は銅と錫(すず)を主成分とする合金で,多くはこれに鉛と微量の不純物を含む。日本の青銅器の最古の例は,山形県三崎山から発見された青銅刀子(とうす)で,縄文後・晩期に位置づけられるが,より確実なのは,弥生前期初頭,朝鮮半島から流入したと考えられる福岡県今川遺跡出土の銅鏃(どうぞく)・銅鑿(のみ)である。日本出土の青銅器は朝鮮半島系・中国系・日本列島産に大別される。九州北部では弥生前期末に細形の銅剣・銅矛・銅戈(どうか)や多鈕細文(たちゅうさいもん)鏡,中期中頃には中細形の武器形青銅器および前漢鏡,後期初頭にはこれらに加え後漢鏡などが墓の副葬品として発見される例がある。また西日本では中細形以降の武器形青銅器が複数で埋納(まいのう)される例もある。一方,畿内では日本特有の青銅器である銅鐸(どうたく)が弥生前期末から出現し,広く西日本に分布。武器形青銅器が九州北部を中心に分布域を形成するのと対照をなす。近年各地で各種青銅器の鋳型の発見があいつぎ,日本の青銅器生産は弥生前期にまでさかのぼる可能性が強い。また九州からも銅鐸と銅鐸の鋳型があいついで発見された。日本の青銅器は小型から大型へと長大・扁平化し,その過程で実用利器(りき)から祭器・儀器へと変質し,それとともに副葬から埋納へと出土状況も変化する。これらの青銅器は弥生時代の終りとともに使用されなくなり,古墳時代の青銅器は鏡や筒形銅器・馬具・銅釧(くしろ)などが中心となる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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