青岸渡寺(せいがんとじ)
和歌山県那智勝浦町にある天台宗の寺。那智山と号す。寺伝によれば,仁徳朝に裸行(らぎょう)上人が那智滝壺から感得した如意輪観音を祭ったことに始まり,如意輪堂と称し,熊野那智大社の神宮寺とされた。裸行上人の子孫潮崎氏,ついで米良(めら)氏が一山の衆徒・行人(ぎょうにん)を支配した。天正年間に一山焼失したが,豊臣秀吉によって復興。江戸時代には巡礼者で賑わい,盛んに出開帳(でかいちょう)を行った。明治初年の神仏分離で一時廃寺となったが,やがて復興され,寺号を青岸渡寺とした。本堂の如意輪堂(豊臣氏による再建),平安前期の銅造如来立像などは重文。西国三十三所観音の1番札所。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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