西域物語(せいいきものがたり)
江戸後期の代表的西洋事情・経世論書。3巻。本多利明(としあき)著。1798年(寛政10)成立。西域は西洋の意。西洋事情を肯定的に紹介,それと比較しつつ,みずから見聞した天明の飢饉に示される当時の社会状況への鋭い問題意識をふまえ,「万民増殖」のためには国産の振興にとどまらず,外国からの富の獲得が肝要だとする「自然治道」の経世論を展開。日本の停滞の原因を儒仏神に求め,天文・航海術など西洋の科学を導入すること,さらにキリスト教を積極的に評価し,西洋の政治形態を範とすることなどを説く。利明の経世論が,当時の鎖国下では注目すべき西洋認識に裏づけられていることをよく示す。「日本思想大系」「日本経済大典」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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