曾根崎心中(そねざきしんじゅう)
人形浄瑠璃。世話物。1段(3巻構成)。近松門左衛門作。1703年(元禄16)5月大坂竹本座初演。前月に曾根崎の森で実際にあった,遊女お初と手代徳兵衛の心中事件に取材した近松最初の世話物。登場人物の人間性や町人社会をいきいきと描き,これまでの世話物にない特色をだす。作劇に歌舞伎の様式をとりいれたり,人形遣いの名手辰松八郎兵衛が出遣いをするなどの工夫で人気を得,竹本座の経営不振を一挙に挽回。以後,浄瑠璃・歌舞伎に多くの改作物がうまれたが,原作の再演はなかった。近年その文学的価値が認められ,近松の代表作として映画・現代演劇にもとりあげられた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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