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祖先崇拝(そせんすうはい)

家族・部族・民族の祖先を神として崇(あが)め祭り,その加護を祈ること。本来は死霊に対する畏怖と敬愛の感情からうまれた呪術(じゅじゅつ)的な色彩の濃い,自然発生的な信仰であった。祖先とは死者一般をいうのではなく,社会的に正統とみられた子孫をもって,はじめて「祖先」として祭られる。日本の祖先崇拝は,弥生時代の稲作農業の開始と氏族制度が,その習俗成立のうえで重要な役割をはたした。中世以後,荘園や郷村での産土神(うぶすながみ)が,荘民や村民によって祖神と考えられたが,近世にはさらにその範囲が広げられ,すべての神社が祖先崇拝の結果の産物である,と意識されるようになった。こうした見解には孝を中心とする儒教倫理の影響が考えられる。一方,仏教の輪廻(りんね)の説が日本人の霊魂観と結びついたとされる追善供養は,個々の家の祖先崇拝的機能をもつようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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