1. 用語
  2. 日本史 -そ-
  3. 惣領制(そうりょうせい)

惣領制(そうりょうせい)

中世武士団内の惣領・庶子関係を軸とした社会的関係。鎌倉幕府の御家人支配もこの制度のうえに成り立っていた。父祖によって決められた嫡子(惣領)が,戦時の軍事的指揮,父祖跡所領の公事配分,日常的な祭祀で自立的な庶子を統轄したが,基本的には共和的・相互扶助的な関係であった。惣領の庶子に対する権限行使は,父祖の強い親権によって付託されたものとみられる。世代が下るとともに庶子家のなかにも2次的な惣領・庶子関係が形成された鎌倉後期には,統合と分立をめぐって惣領・庶子間の対立が顕著になった。庶子が独立傾向を強めると,所領配分や惣領の統率権などを定めた置文(おきぶみ)が作成され,惣領制の再編が行われた。南北朝期になると,惣領の庶子統率権が強化され,相続のうえでも一期分(いちごぶん)化が一般化。やがて嫡子単独相続が行われるようになると,庶子は惣領の扶持をうけて家臣化し,惣領制は大きく変質した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう