奏(そう)

一般に天皇に対して官司または臣下個人が上申すること。口頭と文書による場合がある。律令制下では,文書による奏の書式について,公式令(くしきりょう)に論奏・奏事・便奏(びんそう)の三つの太政官からの奏のほか,奏弾・飛駅(ひやく)上式を規定。論奏は国家の大事について太政官の議政官が発議して奏上する場合,奏事は原則として諸司の解(げ)にもとづいて論奏以外に奏すべきことを太政官から奏上する場合,便奏は日常的な小事について少納言から奏上する場合に用いられた。奏弾は弾正台が官人の非違を奏上するもので,飛駅上式は緊急の事件について諸国から上奏するものであった。このほか諸司から太政官を経由せずに天皇に上奏する直奏(じきそう)が広範に存在した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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