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樽廻船(たるかいせん)

主として酒荷を上方から江戸に輸送した廻船集団。はじめ酒荷は十組問屋傘下の菱垣(ひがき)廻船の積荷だったが,酒荷の特質などから荷主の摂津国灘の酒家中(酒造家)はしだいに菱垣廻船に不満を募らせ,1730年(享保15)十組を脱退して独自に酒荷専用の廻船を仕立てるようになった。これが樽廻船である。その後酒荷の上荷として菱垣廻船積荷を洩積みするようになったため,低迷する菱垣廻船との間に紛争がたえず,明和年間には積荷協定を結んだが,その後も樽廻船の優勢はゆるがなかった。しかし天保期以後は,積荷の菱垣廻船化が進み,中核である酒家中から不満が出るなどの問題を抱え,新興の尾州廻船などに押されて,その勢力に衰えがみられた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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