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託宣(たくせん)

神託・予託とも。神霊が人にのり移ったり夢の中に出現して,意志を表したり予言を告げること。歴史的には九州の宇佐八幡宮に起因する八幡神が,託宣を利用して地方神から全国的に祭祀される神へと発展した例が知られる。東大寺大仏の鋳造に際しての託宣や,道鏡(どうきょう)が皇位を奪おうとした事件に際し,和気清麻呂(わけのきよまろ)が宇佐八幡宮の神託をもってその野心を退けたなどが有名。鎌倉末期には八幡神の託宣や神異をまとめた「八幡宇佐宮御託宣集」が編纂された。新興宗教の天理教や金光(こんこう)教なども,神が教祖を通じて託宣を発することが契機となって創始された。現在でも民間宗教や島根県の大元神楽(おおもとかぐら)などの民俗芸能には,行者などが神がかりして託宣を行うシャーマニズムの形態がみられる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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